2008年07月01日 平成20年度路線価 大阪・京都・神戸で明暗
1日に公表された路線価で、近畿は大阪、京都、神戸の3都で明暗が分かれた。開発事業が相次ぐ神戸・三宮は順調な伸びを見せ、大阪のキタ・ミナミは堅調。一方で、京都市中心部は上昇率が鈍った。不動産関係者は「踊り場を迎えた」とみており、今後は投資効率をシビアに見極めた「選択と集中」が強まりそうだ。
■開発目白押し
「空き店舗が出ても、すぐに東京の会社が入居した。地元以外にも魅力ある街とみられている証拠だ」
上昇率が24・7%増(前年21・4%増)と2年連続で20%台だった神戸・三宮センター街1丁目の土井一三・商店街振興組合理事長はこう話す。
数字が示すように、三宮では再開発や高層住宅の建設がめじろ押しだ。
JR三ノ宮駅東側では総額260億円をかけて、54階建ての高層住宅や店舗・ホテルの複合ビルを建設する「旭通4丁目地区市街地再開発事業」が計画。ほかにも神戸市役所南側の東遊園地隣接地や、駅から徒歩圏内の市交通局三宮操車場跡地など、複数の超高層マンション事業が進む。
商業地としての評価に加え、交通アクセスの良さも三宮の強みだ。神戸市の担当者は「三宮はJRや私鉄、地下鉄の駅が集中した交通の結節点。神戸空港も開港し利便性はアップした。役所の窓から街を見ても、いつも工事が行われている感じですよ」と話す。
■景観条例影響
これに対し、鈍化が顕著だったのが京都市内中心部。下京、中京、右京の各税務署管内の最高路線価の上昇率は、いずれも前年から約10ポイント縮小した。
「新景観政策の影響が大きい。マンションは売れなくなり、建設地もたなざらしだ」とこぼすのは、京都市の不動産仲介「アールエスティ」の天野博社長。
同市の新景観政策は19年9月にスタート。建築物の高さを制限する内容で、「田の字地区」と呼ばれる市中心部の幹線道路沿いは従来の45メートルから31メートルに、その内側は31メートルが15メートルにそれぞれ高さが引き下げられた。内側でいえば、従来は11階建て程度のマンションが建設可能だったのが、新政策により5階建て程度にとどまってしまうことに。
不動産鑑定士の百合口賢次さんは「新政策の影響は不透明」としながらも、「市内は3年前ごろからマンション業者が続々と参入し、価格が高騰していた。購買層の限界に達しつつあった時期にちょうど当たってしまった」としている。
■北ヤードが牽引
最高路線価の都道府県別で全国2位だった大阪市北区の阪急百貨店前。「関西最後の一等地」とされる梅田北ヤード開発に対する期待が好材料となり、安定感を見せた。
日本不動産研究所大阪支所の目方匡(ただし)次長は「バブル期と違い、この場所に何ができるかを見極めて金が動き、土地が買われる」とした上で「北ヤードのあるキタは別格。今後も拡大を続けるだろう」と推測する。
一方、なんばパークスやマルイなど、予定されていた事業が一段落したミナミ。南海難波駅前の上昇率は31・7%増だった。前年(40・8%増)ほどの伸びはないが、不動産経済研究所大阪事務所の石丸敏之所長は「ミナミは大阪らしさが残っているのも魅力。人を引きつける力がある」と地力を評価する。
しかし、ある不動産関係者は「御堂筋では、昨年前半までは坪4000万円といわれたが、後半から今年にかけ、3000万円台にまで下落したとされる」と話しており、景気減速の波は大阪市中心部にも押し寄せているという。
【提供元】産経新聞
