2008年06月17日 千葉地裁も損益通算廃止の遡及適用には合理性があると判決
平成16年税制改正の際に創設された土地等の譲渡損失に係る損益通算廃止措置の遡及適用の可否が争われた事件の判決が福岡・東京地裁に続いて千葉地裁(堀内明裁判長)からも下りた。同地裁は東京地裁と同様に、遡及適用には合理性があり、損益通算廃止を予測できなくもなかったと判示して納税者の主張を斥けた。これで国側の2勝1敗となったが、三地裁とも控訴されていることから、争いの舞台は控訴審に移った。
この事件も本人訴訟によるもので、平成16年税制改正の際に創設された土地等の譲渡損失と他の所得との損益通算廃止措置を施行前の土地等の譲渡にまで適用するのは租税法規不遡及の原則に反するか否かの判断が争われたもの。ただ、平成16年1月に譲渡契約、同年3月に引渡し、翌年の期限後申告の後、更正の請求をしているのが他の事案とは性格を異にしており、何故、期限後申告の際に損益通算しなかったのか疑問が残る事案だ。
これに対して判決は、平成16年改正の背景や損益通算廃止措置の立法趣旨を踏まえた上で、譲渡所得は期間税の性格を持つから厳密には遡及立法に該当しないと解釈するとともに、特段の事情がある場合にのみ遡及適用が許されるとだけ解するのは相当ではないとも示唆した。
また、施行時期を遅らせれば資産デフレ等を懸念した政策目的を失することになり立法目的は妥当であるとも指摘。さらに、新聞等の記事から納税者が遡及適用を予測できる状態にあり、過去にも遡及適用の例がマレではなかったことを勘案すれば、全く予測できなかったともいえないとも判断している。その上で、納税者の不利益が公益性を明らかに上回るともいえず、また遡及適用が立法目的に照らして著しく不合理であるとまではいえないことから、憲法84条には違反しないと判示している。
(2008.05.16 千葉地裁判決、平成19年(行ウ)第15号)
【提供元】21C・TFフォーラム
